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ニュース 知的財産学科の学生らが研究報告会「本を利用した飲食店メニューの法的課題」をオンラインライブ配信しました

トピックス
 8月28日、知的財産学科長の水野五郎教授と同学科の学生らは、全国の書店やブックカフェ、飲食店向けにオンライン研究報告会「本を利用した飲食メニューの法的課題~著者名、本のタイトル、本の記述内容を使った飲食メニューを許諾なく販売することはできるのか?~」を開催し、約20人が参加しました。
 
 本報告会で発表した研究は、5月上旬に大阪市北区にあるブックカフェ「Andbooks」から水野教授に「書籍に登場するメニューを実際に再現し販売することは、知的財産権などの観点から問題はないか」と問い合わせがあったことがきっかけで開始。約2カ月間の調査・研究を行い、法的根拠や事例などを報告書としてまとめ、7月に同カフェに報告しました。本報告会では、この調査・研究で得た知見を広く全国の書店などに共有する目的で開催しました。
 
 報告会では、山田音得さん(2年)が、『村上春樹「騎士団長殺し」のパスタ』を例に挙げ、知的財産法の観点から解説。
著書に登場する料理を再現することは著作権侵害にならないが、メニューの説明に著書の記述を転載することは侵害にあたると解説。著作権法が保護する対象などについて分かりやすく説明しました。また、著者名をメニューの名称に使用することについては著作権の侵害にはあたらないが、氏名や肖像などが持つ顧客吸引力を独占できる権利「パブリシティ権」の侵害にあたる疑いがあることも説明。さらに商標権、不正競争防止法など、知的財産法のさまざまな観点から研究した成果を発表しました。
 桐田陽介さん(同)は、商標などの情報を調べることができるウェブサイト「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」の使用方法について解説。桐田さんが、実際にパソコンを操作し、画面を参加者と共有しながら、誰でも簡単に検索できることを説明しました。
 
 その後、同カフェ店主の大谷正世氏が登場。報告書に基づいて、谷崎潤一郎著の「蓼喰う虫」に出てくる料理を再現し提供している「レバーソーセージのサンドウィッチ」の事例紹介を行いました。大谷氏は報告書を読んで「著書内で登場するレシピには著作権がないことに驚きました」と振り返り、「法的問題だけでなく、著書のファンが持つイメージを損なわないようにすることも大切です」と自身の経験を話しました。参加者からは「海外の作家や小説を活用したい場合はどうすればいいのか」といった質問や、「多角的に検討した分かりやすい説明でした」といった声が聞かれました。