LLNL thermo.com.v8.r6+からデータを得る □□Using thermo.com.V8.R6+.tdat

LLNL thermo.com.v8.r6+とは

熱力学計算ソフトGWBに格納されているデータベースのうちの一つで公開されています｡Lawrence Livermore National Laboratoryでとりまとめられたもので､データ量が豊富です｡平衡定数とΔfG₀の両方が記載されているので､確認しながら使うことができます｡

例として炭酸水の解離式 CO₂ + H₂O = H⁺ + HCO₃^-の平衡定数を調べましょう｡

データベースはテキストデータ

このデータベースはテキストデータで記述されています｡CO₂(aq), CO₃^2-(表ではCO₃^-
-と書かれています)データを見てみましょう｡

CO2(aq)

charge= 0.0 ion size= 3.0 A mole wt.= 44.0098 g

3 species in reaction

-1.0000 H2O 1.0000 H+ 1.0000 HCO3-

-6.5804 -6.3447 -6.2684 -6.3882

-6.7235 -7.1969 -7.7868 -8.5280

* gflag = 1 [reported delG0f used]

* extrapolation algorithm: supcrt92 [92joh/oel]

* reference-state data source = 89sho/hel

* delG0f = -92.250 kcal/mol

* delH0f = -98.900 kcal/mol

* S0PrTr = 28.100 cal/(mol*K)

CO3--

charge= -2.0 ion size= 4.5 A mole wt.= 60.0092 g

2 species in reaction

-1.0000 H+ 1.0000 HCO3-

10.6241 10.3288 10.1304 10.0836

10.2003 10.4648 10.8707 11.4638

* gflag = 1 [reported delG0f used]

* extrapolation algorithm: supcrt92 [92joh/oel]

* reference-state data source = 88sho/hel

* delG0f = -126.191 kcal/mol

* delH0f = -161.385 kcal/mol

* S0PrTr = -11.950 cal/(mol*K)

CO₂(aq)もCO₃^2-も､HCO₃^-で記述されています｡LLNL thermoでは､このHCO₃^-のように､基本となる化学種をbasis speciesとして定義しています｡

データの読み方

まず､反応式を読み取ります｡

CO₂(aq)の化学反応式を数学的に記述すると､

CO₂(aq) = -1 × H₂O + 1 × H⁺ + 1 × HCO₃^-

です｡

数学的表現の化学反応式を､化学平衡式に書き改めます｡化学種の濃度を対数にします｡化学平衡の定数は○です｡

化学平衡の定数は､2行4列の数表の､1行目2列目に25^oC､1 atmでの平衡定数が記述されています｡ここでは､-6.3447です｡

この値を､logの式に組み込みます｡正負を逆転することに注意してください｡

logの式を整理すると､化学平衡の式が得られます｡

平衡定数 K = 10^-6.3447が得られました｡

標準生成ギブスエネルギーから計算する方法

データにはΔfG₀が記載されています｡

データベースから､反応に関与する化学種のΔfG₀を検索､抽出します｡平衡定数をln K = - ΔrG/RTから計算します｡

K = 10^-6.36が得られました｡

演習

CO₃^2-が得られる解離式を導出してみましょう｡

上記では､- log[H⁺] = pHの関係式が使われています｡

(おわり)

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