大阪工業大学 情報科学部 情報メディア学科 
ヒューマンインタフェース研究室 安保 彰

〜感性コミュニケーションツール〜



  ◆研究概要

   感覚や感性による言語表現として擬音語や擬態語がある。擬音語とは聴覚的印象を表すもの、
  例えば外界の音や動物の鳴き声などを言語音によって描写した「ワンワン」のような単語であ
  り、擬態語とは聴覚を除く感覚(視覚・触覚・味覚・嗅覚)的および感情的印象を表すもの、
 例えば音のしない物事の様子をあたかも音のするごとく言語音によって描写する「きらきら」
 のような単語のことである。両者をあわせたものはオノマトペと呼ばれている。日本では特に
 日常的な会話の中で感覚や印象を相手に伝えるときなどによく使用されているが、印象の表現
 が話者の主観的な言葉となることが多く、その表現は感覚的印象をダイナミックに相手に伝え
 るが、どのように伝わっているかは明確ではない。しかしオノマトペの表現、例えば形状の擬
 態語による表現では、清音は軽く尖った細い線を、濁音は複雑で鈍く太い線を、流音は曲線な
 どのようにある一定の印象を与えることも確認され、また音と意味との間に有縁性も認められ
 ている。
 そこで本研究では、オノマトペに適合している効果音を心理測定法により抽出し、文章中のオ
 ノマトペに適合した効果音を付加し再生するシステムを開発し、さらにそのシステムとCMCにお
 ける印象評定項目を利用して、その文章に対する印象がどのように変化するか評価することを
 目的とする。

  ◆目的

  文章中の擬音語・擬態語に適合した効果音を付加し再生するツールの開発

  ツールを利用し、効果音を付加した文章に対する印象がどのように変化するか評価

  ◆研究の進め方

  (1)形態素解析ツール利用によるメッセージ中の任意の擬音語・擬態語の抽出

    @擬音語・擬態語の抽出

      ⇒日常的に使われる擬音語・擬態語89 種を抽出

      (国立国語研究所ホームページhttp://www.kokken.go.jp/)

    A89 種の擬音語・擬態語を形態素解析ツールChasen のオプション機能で品詞分析

      ⇒89 種の擬音語・擬態語のうち73 種が副詞・16 種が名詞

    Bチャット履歴に含まれる実際のメッセージを用いたChasen による品詞分析

      ⇒日常的な会話では、Aで抽出された16 種の名詞の擬音語・擬態語の品詞番号が頻繁に抽出された

        ⇒名詞を手がかりに擬音語・擬態語を抽出するのは効率的ではない

          ⇒副詞の擬音語・擬態語73 種に絞って抽出することで効率よく抽出可能である
  
  (2)73 種の副詞の擬音語・擬態語に適合した音の抽出

    @効果音素材集web サイトより効果音(539 個)のダウンロード

    (WEB WAVE LIB http://www.s-t-t.com/wwl/)

    A数名の被験者による評価実験にて類似音の除去

      ⇒音ファイル数539 →133

    B数名の被験者による上記133 個の音ファイルと73 種の擬音語・擬態語の適合性の評価

      ⇒音ファイル数各擬音語・擬態語に対し1 〜15

    C一対比較法を利用した音ファイルの擬音語・擬態語の適合性の評価実験

      ⇒擬音語・擬態語に最も適合した音の検出

  ◆評価結果より 擬音語・擬態語に適合した効果音例

    がたがた             じっくり             のろのろ




























    はっきり             はっと              ぴったり





























  ◆開発したツールデモ

       デモ1        デモ2
  
概要