「ガイドエージェントを用いた家計簿入力支援システムの開発」
概要
人がコンピュータを用いて様々な操作を行う際のユーザインタフェースの形態の1つとして,コンピュータディスプレイ上に,人の顔や身体を表現し,音声やジェスチュアを行わせる擬人化されたエージェント(擬人化エージェント,または単にエージェント)の有用性が重要視されてきている. 一方,人間同士のコミュニケーションにおいて動作,ジェスチュアなどの言葉以外の手段(非言語情報)がメッセージ伝達に大きな役割を占めていることが知られている. これらの研究より,人間同士のコミュニケーションにおけるようにジェスチュアをユーザに対して提示し,音や音声を表出する擬人化エージェントをインタフェースに設定することで, 非言語情報を効果的に用い,ユーザに対しより的確に情報の伝達を行うことが可能であると考えられる.本研究の目的は,上記の特徴を備えた擬人化エージェントをガイドエージェントと呼び,実際にガイドエージェントを用いた専門知識のないユーザでも簡単にかつ,分かりやすく操作できるシステム,マニュアルや予備知識がなくても操作することの出来るシステムの設計・開発である. その例として本研究ではガイドエージェントを用いた家計簿システムを設計・開発し,その効果について評価する.本研究のシステム設計では可視化の3原則と画面インタフェースデザインの6原則を用い,ユーザとシステムとのインタラクションをより容易にした. また,システム開発ではガイドエージェントとしてMicrosoft Agentを使用し,実際にガイドエージェントが画面上を移動し,ユーザに記入方法を指示し,記入内容を読み上げるなどしてユーザの操作を支援する機能を実装した. ユーザヒアリングの結果,ほとんどの被験者がガイドエージェントの支援により本システムを使いこなすことができ,楽しんで使うことが出来たという意見を得た.これらのことから,ガイドエージェントがジェスチュアや音声を用いてユーザを支援することで,ユーザの操作をより円滑に行わせることが可能であると考える. 今後は長期間の評価実験を多くの被験者に対して行いガイドエージェントの長期的な支援効果を明確にすることが課題である.
関連資料
Microsoft Agentについて
プロフィール
波多江 琢(はたえ たく)大阪工業大学 情報科学部 情報メディア学科