Web上イベント意思決定支援システムの開発


大阪工業大学 情報科学部 情報システム学科
 下藤 愛 ( Ai Shimofuji )

開発システム 「iLover(アイ・ラバー)」

 会議や宴会などのイベントの幹事を頼まれた! だけど・・・
  • 企画を立てたけど日程が決まらず、実行できなかった
  • 出席人数の数え間違いをして苦労した
  • 参加者全員とメールでやり取りをするのが面倒
  • 参加人数が多くて、要望をまとめるのが大変
など、そんな幹事の悩みや苦労を解決する、便利なWebシステムが
「イベント意思決定支援Webシステム iLover (アイ・ラバー)」です。

システム利用例

開発システム「iLover(アイ・ラバー)」
 本研究の支援システムはwebとメールと連携して利用することによって幹事の負担を軽減します.
  • 必要な事項を入力するだけでスケジュールWebページを自動生成
  • 1つのWebページをグループ内で共有し,グループ内の予定やコメント,1日毎の集計結果を一覧で参照可能
  • 予定はクリックのみで入力可能で1日ごとに3種類(参加可,参加不可,条件付き参加可能)のうち1種類の提示
  • 未入力判別行うため,ボタンやリンクの配置を考慮してデザイン設計
使用言語・開発環境
  • HTML
  • CSS
  • JavaScript
  • Ajax(Asynchronous JavaScript + XML)
  • PHP
  • サーバOS:Fedora Core 6

開発システムの使用方法

開発システム「iLover」の使用方法は以下の通りです.

  1. 幹事は専用のHTMLページに必要な項目を入力します.
  2. スケジュール調整ページの自動生成されます.
  3. 生成されたスケジュール調整ページのURLをメールでグループ内全員に知らせます.
  4. スケジュール調整ページで参加者全てのスケジュール予定,コメントを一覧できます.
  5. グループ内全員に各自の予定やコメントをスケジュール調整ページで入力してもらいます.
  6. 1日毎に予定の集計結果を確認でき,スケジュール調整ページを閲覧することで開催日程や場所などの決定の支援が可能です.

梗概

 2名以上のグループが同時刻に指定された場所に集合し,会議や宴会といったイベントを開催することがある.グループ内でイベントを開催するにあたって,日程調整や開催場所,1人あたりの費用等の必要事項を次に述べるように決定する必要がある.

  1. グループ内全員の予定や要望を集計し決定する人間(以下,幹事)と,幹事に自身の予定や要望を連絡する必要がある人間(以下,参加者)をグループ内で分担する.
  2. 幹事は参加者とのやりとりすることで,グループ内全員の予定や要望の収集する.
  3. 幹事は収集した予定や要望の集計を取り,集計結果から必要事項を決定する.

 しかし,必要事項を決定するまで幹事と参加者のやりとりは幹事にとって負担である.参加者が多ければ多いほど,幹事が各参加者とのやりとりの回数は増加するため幹事の負担が増大する.
 先行研究において,幹事の負担を軽減するため,グループ内の日程調整を計算機で支援する研究がなされている[1][2][3].また,webとメールを連携させることで幹事の負担が軽減されることが実証されている[2].さらに,実際に運用されているシステム[3]を利用したユーザヒアリングにより,運用システムはイベントの日程調整のみ支援する機能しか考慮されておらず,支援webページのデザインによって参加者の予定入力を怠ってしまい,幹事が正しい集計結果が得られない,webフォームの設計によって参加者の要望の提示方法が制限され,曖昧な表現や自由表記ができない等の改善点があることが明らかになった.
 本論文では,参加者の未入力を発生させない支援webページの提示方法を実装するとともに,参加者の要望を曖昧な表現や自由表記で提示可能にし,より幹事の負担を軽減できるイベント意思決定支援システムの設計・実装および評価について述べる.

参考文献
  1. 菊野亨,吉田典可,杉原一夫, 会議スケジュール自動調整: 情報処理学会誌,Vol.26,No.3,pp.205-212, 1985.
  2. 乃村能成,谷口秀夫, 幹事の負担を軽減する会議日程調整支援システム : 情報処理学会 マルチメディア・分散・協調とモバイル(DICOMO 2003)シンポジウム 論文集,pp.737-740(2003.6), 2003
  3. Pollan  http://hp.pollan.jp/
著作物