築山庭造法

　築山庭造法は明治時代の庭園研究家中島春郊が、むかしから造庭の手引書として重寳がられていた秋里籬島あきざとりとうの築山庭造傳や、石組園生八重垣傳、古書の園林書などを涉獵參照して巧に取撰捨擇し冗文を略いて簡潔を旨とし、造庭の秘訣を叙した三冊本で、これを全部銅板に附したなど凝りに凝つて上梓したものである。今回ははからずも此の銅板全部が発見されたので、しらべて見ると簡にしてよく容量を得、圖版ずはんとなども中々面白いので、更に内容を檢討けんとうして誤󠄁字を正し、下巻の庭園圖ていえんずのごときも、大正の震災や昭和十九年度來らいの戰禍せんかで燒失しょうしつしたものなどを略はぶき、これを口繪圖版くちえずはんとして挿入、二冊を一冊にまとめ裝よそおひを新にして刊行することにした。