筋芽細胞から太い三次元培養骨格筋を作製し、再生医療への応用を目指す。スキャフォールドとしてコラーゲン、脱細胞化組織などを用い、バイオリアクターにて循環培養を行う(図1)。作製した培養筋の収縮力、組織、タンパク質発現、遺伝子発現など評価する。動物への移植実験も行う。神経細胞や血管内皮細胞との複合化も検討する。
培養骨格筋に運動刺激や電気刺激、温度刺激、薬物刺激などを与えて培養する。収縮力、組織、タンパク質発現、遺伝子発現などで、刺激に対する応答を評価する(図2)。より強い筋肉の作製や、速筋・遅筋への変化などを調べるとともに、アクチュエータ(人工筋肉)への応用を図る。また、培養骨格筋をモデルとして、筋損傷後の修復過程や運動後の糖尿病改善過程などについて調べる。
血管・心臓弁、肺、肝臓、腎臓、その他の組織を脱細胞化処理したあと、循環培養などにより種々の細胞を組み込むことで培養組織を得る。得られた組織を動物体内に移植し、その再生過程を検討する。細胞には、樹立細胞株のほか、間葉系幹細胞や脂肪幹細胞などのプライマリー細胞を動物から採取して用いる(図3・4)。
新規なケラチンスキャフォールドを開発し、スポンジ状やゲル状に加工の上、軟骨組織などの再生を目指す(図5)。
人工子宮内膜上で受精卵を培養することで組織発生について検討する。受精卵の着床過程について調べる。
自己脱細胞化組織を用いた皮膚再生治療法の開発を行う。また、培養皮膚を作製し、薬物や紫外線などに対する応答、および薬物や化粧品などによるその阻害効果を調べることで、創薬や化粧品開発への応用を目指す(図6)。
細胞活動によって発光あるいは発色する生理化学物質を用い、その発光・発色現象を捉えることで細胞活動を検出し得るシステムを開発する。血栓形成過程を追跡したり、網膜細胞の活動を捉えることで視力再生に応用することを目指す(図7)。
DNAアレイを用い、動物体内に埋め込まれた高分子材料表面に対する免疫細胞の生体応答を網羅的に解析することで、新規な生体適合性材料を開発する(図8)。