研究内容

三酸化モリブデン薄膜の結晶成長とプロトネーション効果に関する研究

作製した薄膜を光電子分光装置で組成分析している様子

三酸化モリブデン(MoO3)は多様な結晶相を有するバンドギャップの大きな半導体材料です。これまで我々は,分子線エピタキシー法で格子整合基板上に準安定β相MoO3薄膜をエピタキシャル成長することに成功しています。作製した薄膜へプロトンを電気化学的に注入した際の構造や電気・光学特性の変化を調べ,デバイスへの応用を検討しています。電子情報システム工学科 廣芝伸哉先生,リガク(株)X線研究所 稲葉克彦氏との共同研究。

絹フィブロインを用いた酵素固定化とFET型バイオセンサーへの応用

作製した薄膜をプラズマで表面処理している様子

腎機能マーカーであるクレアチニンや尿素窒素を長時間連続モニタリングするためのウェアラブル・バイオセンサーを実現するため,差動回路を用いた拡張ゲートFET型バイオセンサーを開発しています。酵素を含む絹フィブロインを用いて酵素膜を成膜し,FETの拡張ゲート電極として用いています。遷移金属酸化物半導体を酵素膜の下地にすることでセンサーの感度向上を試みています。松田養蚕場(株)松田氏よりナノフィブロインパウダーを,信越化学工業(株)廣神氏よりシランカップリング剤を,それぞれ提供いただいています。電子情報システム工学科 廣芝伸哉先生,電気電子システム工学科 小山政俊先生との共同研究。

技術シーズ

溶液塗布熱分解法による酸化ガリウムインジウム薄膜の作製と特性評価

作製した薄膜を電子顕微鏡で組成分析している様子

バンドギャップの大きな酸化ガリウム(Ga2O3)薄膜は深紫外線センサーの候補材料です。我々は,非真空プロセスである溶液塗布熱分解法でGa2O3とIn2O3の混晶膜を成膜し,金属-半導体-金属(MSM)タイプの紫外線センサー素子を試作しています。In組成比を変えることで,UV-C,-B,-Aの紫外線領域で感度を有する可視光ブラインド紫外線センサーの実現を目指しています。電子情報システム工学科 廣芝伸哉先生,電気電子システム工学科 小山政俊先生との共同研究

酸化ハフニウム・ジルコニウム薄膜の作製と強誘電体メモリーへの応用

強誘電体薄膜の電気特性を調べている様子

酸化ハフニウム(HfO2)と酸化ジルコニウム(ZrO2)薄膜を混晶化したHfZrO2は強誘電体材料として注目されています。我々は,対向ターゲット式スパッタ法および溶液塗布熱分解法でHfZrO2混晶膜を成膜し,その結晶構造や電気特性を調べることで,強誘電体メモリーへの応用を目指しています。電子情報システム工学科 廣芝伸哉先生との共同研究

MOD法による二酸化バナジウム薄膜の作製とスマートウィンドウへの応用

酸化バナジウム薄膜を成膜している様子

二酸化バナジウム(VO2)は約70℃で結晶相が転移して赤外線透過率が減少する特徴を有しています。我々は,金属有機分解(MOD)法で極薄ガラス基板上へVO2薄膜を成膜し,サーモクロミック特性を調べています。NbやZr等の不純物ドープによる日射透過率,近赤外線調光率,相転移温度の変化を調べ,赤外線スマートウィンドウの実用化を目指しています。ナノ材料マイクロデバイス研究センター 和田英男先生,電子情報システム工学科 廣芝伸哉先生,高純度化学研究所 河原氏との共同研究。

赤外線スマートウィンドウ開発プロジェクト