大阪工業大学 情報科学部 宇宙物理研究室 2007年度 卒業研究
「特殊相対性理論での光のドップラー効果と光行差」
情報メディア学科 氏名 兵庫 真広
2008/2/25 作成
概要 / 目次 /
概要
本研究では、私たちの日常扱う有効な理論であるニュートン力学と、光速に近い運動状態を正しく記述する特殊相対性理論をドップラー効果で比較し、さらに光行差を取り入れることによって観測者の速度とともに見かけの光景がどのように変化するかを、Javaを用いたプログラムで視覚化した。
ドップラー効果とは、物体の相対速度で生じる波の振動数変化の現象であり、光の場合は観測者と光源が相対的に遠ざかる場合は赤方偏移し、相対的に近付く場合は青方偏移する。観測者の運動方向から光源が角度 の位置にある時のドップラー効果は横ドップラー効果と呼ばれる。
また光行差とは、観測者の運動によって、見かけの光景の相対角度が異なる現象であり、同様にローレンツ変換から導くことができる。
以下の図は、一様に黄色の光源がある時に観測者の速度によって光源がどのように見えるのかを示す。可視光線は波長380nm〜780nmの範囲で、波長が短くなるにつれて赤、橙、黄、緑、青、紫の順に見える。左が通常の横ドップラー効果のみの可視化、右がさらに光行差を取り入れた時の可視化である。横ドップラー効果では、中心に行くほど青方偏移が起こり、外側に行くほど赤方偏移が起こる。このように、見えている景色が虹色に変化する現象を「スターボー」と呼ぶ。なお、中心の白い部分は紫外線により見えない事を示している。各々の角度θで見えていた光線は、光行差現象により、より低い角度で見えるようになる、つまり見かけの世界・視野が狭くなることが分かる。なお、図の左の二つは光速の30%、中央の二つは50%、右の二つは90%での変化を示している。
目次
- 序論
- 特殊相対性理論
- 光速不変の原理と特殊相対性原理
- ガリレイ変換
- ローレンツ変換
- ドップラー効果
- ニュートン力学でのドップラー効果
- 光のドップラー効果
- 特殊相対性理論でのドップラー効果
- 横ドップラー効果
- 光行差
- ニュートン力学での光行差
- 特殊相対性理論での光行差
- ドップラー効果の可視化
- 結果、まとめ
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