大阪工業大学 情報科学部 宇宙物理研究室 2008年度 卒業研究
「宇宙旅行したときに生じる時間の遅れを計算する教材開発」
情報科学科 氏名 前田 智也
2009/2/12 作成
概要 / 目次 / 卒業論文、プログラム/
概要
特殊相対性理論によれば、静止している人と等速運動している人との間には時間の進み方にずれが生じる。本研究では、生じる時間のずれをユーザのリクエストに応じて表示する教材および双子のパラドックスの解説教材を開発した。生じる時間のずれは、
という式で表される。 dtは静止している人の時間、 dt'は運動している人の時間、vは運動している人の速度、cは光の速度である。運動状態は相対的なものなので、この式から誤解される「双子のパラドックス」がよく知られている。双子の兄がロケットに乗って遠くの星まで旅行をして地球まで帰ってきたとき、(a)弟から見れば兄は移動しているので兄の時間は遅れる、(b)一方兄から見ても弟は移動しているので弟の時間は遅れる、というパラドックスだが、兄が途中で向きを変えて戻ってくる際の加速度運動を考えることで、 (a)が正しいということがわかっている。
この双子のパラドックスを題材にして、以下の3つの機能をもつ教材を開発した。
1. ユーザが を入力することによって目的地に応じた 、 が出力され、また時間差 も出力される 機能(図1)
2. ユーザが を入力することによって目的地に応じた 、 が出力される機能 (図2)
3. 双子のパラドックス、時間の遅れなど特殊相対性理論に詳しくない人でも理解できる説明画面1、2では、往復する星までの距離は、火星(7800万km)・金星(1億8000万km)・土星(13億km)、さらに遠くのシリウス(8.6光年)・アルタイル(17光年)・カストル(52光年)の星を切り替えて計算することができる。
このアプリケーションはActionScript言語を使用し作成した。現在普及しているほとんどのPCで動作させることが可能である。 作成したアプリケーションはこちらで公開しています。
図1:移動速度から時間差を計算 図2:帰還時刻から必要な速度と時間差を計算
目次
- はじめに
1.1 背景
1.2 目的
- 運動する物体の時間の遅れ
2.1 ニュートン力学における時間の概念
2.2 相対性原理
2.3 光速度不変の原理
2.4 ローレンツ変換
2.5 時計のパラドックス
2.6 双子のパラドックス
- アプリケーション解説
3.1 アプリケーション概要
3.2 アプリケーションの構成
3.3 アプリケーションの使用方法
- 結果
4.1 時間の遅れの実数値
4.2 実際に可能な範囲の検証
- さいごに
卒業論文、プログラム
卒業論文 [pdf]
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