大阪工業大学 情報科学部 宇宙物理・数理科学研究室 2013年度 卒業研究
周期境界条件下に配置されたブラックホールの変形
情報メディア学科 森本恭将
2014/3/4 作成
概要 / 目次 /
概要
外部の重力等の影響を受けない場合,ブラックホール(BH)の形状は軸対称であると考えられている. これに対し,空間が短い周期で閉じているような場合においては,自身の重力によって変形した状態で静止すると予想される. これは,コンパクト化された余剰次元を扱う議論に対応している. このような条件下にあるBHの変形の様子を,一般相対論の初期値設定問題として解いた. 具体的には,時間一定面での計量テンソルを拘束条件式から求め,さらに測地線方程式を解いてBHの表面である事象の地平面を判定するコードを作成した. また,BH同士が接近すると重力が強くなり,個別のBHの表面積が増加すると予想される. 計量テンソルを加味して表面積を計算するコードを作り,1軸に周期境界条件を設定した軸対称BHにおいてこれを確認した.
単位サイズのBH(周期境界条件なし) 周期L=2.8[r0]でのBH(3軸に周期境界条件)
1軸に周期境界条件を適用した場合の表面積変化
目次
- はじめに
- 背景
- 目的
- 本論文の構成
- 準備
- 物理量の表現
- 計量テンソル
- 共変微分
- 測地線方程式
- 曲率テンソル
- Einstein方程式
- 球対称時空
- Schwarzschild解
- 光線の軌跡
- 相対論の初期値設定問題
- ADM形式
- 座標条件
- 数値計算の手法
- 微分
- 楕円形偏微分方程式の解法
- シミュレーション方法
- 計算領域の設定
- Hamiltonian constraintを解く
- lapse関数を求める
- 測地線方程式を解く
- 軸対称ブラックホールの表面積を求める
- 結果
- ブラックホール形状の変化
- ブラックホール表面積の変化
- 計算時間の削減
- おわりに