大阪工業大学 情報科学部 宇宙物理・数理科学研究室 2021年度 卒業研究
重力レンズ効果による写真の加工
N18071 日比野穣里
2022/2/28 作成
概要 / 目次 /
概要
2019年、8つの電波望遠鏡を結合させた国際プロジェクト『イベント・ホライズン・テレスコープ』はM87銀河中心のブラックホール(以下BH)の撮影に成功したことを発表した。BHの周囲にはリング状の光が見え、 「重力レンズ」効果がよくわかるものだった。本研究では重力源をBHとワームホール(以下WH)を選べる形で重力レンズ効果を普通の写真を用いて確認できるツールを作成した。図1はBH周囲で散乱する粒子の動きをNewtonの運動方程式で解いたものである。右側を左側から見るとき、中心近くを通る粒子はBHに吸い込まれる。図2は0から500の範囲を0.1刻み、粒子の重なりの数を示した。 -1は粒子がどこかに飛んでいき見えなくなっている範囲、-2はBHに吸い込まれる範囲である。これは設定していたBHの半径の約3倍あるBHに見えることがわかる。この軌跡を光と見立てて写真の加工を行った。図3はその写真である。 中心の周りは光が吸い込まれることで黒い空間になっており、中心に近いほど強く歪んでいる。また、黒い空間の周りにはがピクセルが重なり、明るさが2倍になるリングができており、重力レンズ効果を確認できた。
図4はWHの場合での写真である。WHの反対側で吸い込まれた景色をこちら側の円の内側に上下左右反転して合成している。
論文では明るさを含む色の変化やWHの形状によって異なる写真になる結果の解析や、さまざまな写真の例を記載している。
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図1 粒子が進む経路(原点にBHがある) 図2 粒子の重なりの数
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図1 BHによって歪んだ写真 図2 WHによって歪んだ写真
目次
- 序論
- はじめに
- 本研究の目的
- 構成
- 基礎事項
- 重力レンズ効果について
- ブラックホールについて
- ワームホールについて
- 使用する画像ファイルの構造
- 計算方法
- Newtonの運動方程式
- Rung-Kutta法
- プログラムテスト
- 加法混色の計算
- 写真の加工方法
- 手順
- 対応表
- 対応表の作成
- 画像の加工
- 加工結果
- 使用する画像
- ブラックホール
- ワームホール
- 結論
卒業論文はこちら→ 卒業論文[pdf]
氏名 2022年4月からの所属先 (株)エイコーシステムクリエイツ
2022年4月からの連絡先 daily.fruit071 at gmail dot com