OIT OB・OG Voice

写真:塚本 賢さん
OB・OG Voice
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塚本 賢さん
2012年 工学部 電気電子システム工学科 卒業
2014年 工学研究科 電気電子工学専攻 博士前期課程 修了
※現 工学研究科 電気電子・機械工学専攻

西日本旅客鉄道株式会社 湖西電気区

仕事を丁寧に
取り組むことが
事故防止と
お客様の安心につながる
そこに責任と
誇りを感じている

環境エネルギーを探究するために大学院へ進学

電気は人の暮らしに身近な存在で、不可欠なライフラインの一つ。電気を学べば人の役に立つ仕事ができると思い、大阪工業大学の電気電子システム工学科への進学を決めました。
大学で勉強をするうちに興味を持ったのは、環境エネルギーです。この分野において電気は、太陽光発電や動力発電といった環境配慮型の発電システムと密接な関わりがあります。今後、避けては通れない環境問題に電気という視点からアプローチしたいと思い、エネルギー関連の講義や環境工学科の講義も履修しました。その中で特に、長田昭義先生の環境エネルギーに関する講義に感銘を受け、大学院では、長田先生の「新エネルギー・プラズマ科学研究室」で大気圧プラズマの活用方法の研究を始めました。

研究論文が学会で評価され、学長表彰も受け達成感を得る

私が取り組んだのは、メタンガスにプラズマを加えて効率よく水素を抽出し、クリーンな燃料電池をつくる研究です。先生は自由に研究をさせてくださいましたが、すべてがゼロからのスタートで、水素を抽出する機械もつくらなければならなかったため、当初はかなり苦戦しました。自分でやらなければ前に進めない状況に身を置くことで、行動力を身に付けることができました。この研究論文は「平成25年電気関係学会関西連合大会」で連合大会奨励賞を受賞。学長表彰も受け、成果を得ることができました。

人工衛星プロジェクトに参加し視野を広げる

2~4年次に参加した「大阪工業大学電気推進ロケットエンジン搭載小型スペースシッププロジェクト」も貴重な体験でした。大阪工業大学で人工衛星「プロイテレス」の打ち上げをめざして、機械工学科の学生がメインで取り組んでいましたが、私も人工衛星の電源の製作担当として参加し、太陽光パネルからエネルギーを取り入れ電池に貯め、必要に応じて出力する二次電池をつくりました。このプロジェクトでは、求められるさまざまな技術や性能に応えるため実用性の高い知識を深めることができました。また、機械工学科の学生との意見交換を通して別の視点から電気を学び、視野が広がったことも大きな成果です。
プロイテレス衛星は、インド宇宙研究機関の極軌道打ち上げロケットの相乗り衛星として、インドの宇宙センターから打ち上げられました。空高く飛んでいくロケットを見ながら、感動がこみ上げてきたのをよく覚えています。苦労も多くありましたが、忘れられない経験になりました。

お客様の安全を守ることに責任と誇りを感じる

さまざまな経験を重ねた6年間。そこで見えてきたのは、人のそばで役に立つ仕事がしたいということです。また、好きな乗り物のうち、電気と関わりが深いのは鉄道だと考え、西日本旅客鉄道に就職を決めました。現在の私の主な仕事は、滋賀県湖西線の保守保全の年間計画を立てることです。また、鉄道の電線の断線防止のための検査、駅の電気系統や変電所の保守保全等も担当しています。
日々の仕事で気を付けているのは、常に問題意識を持つことです。例えば、架線の劣化を示す数値は年々下がるものですが、その下がり方が著しい場合は必ず原因があり、重大事故を引き起こす可能性もあります。そのため、ただデータを取るだけでなく、その裏に何が潜んでいるのかを探究することはとても大切だと思っています。
どんな仕事も簡単ではありません。特に私の仕事は簡単に済ませることが危険につながりますから、どのような作業も丁寧に粘り強く、+αの仕事をするように心がけています。そうすることで何十万人のお客様の役に立つことができますし、そこに誇りと責任を感じています。そうした姿勢で仕事に取り組めるのも、学生時代、研究やプロジェクトに真剣に取り組んだ結果だと考えています。

専門知識と技術を得られる本格的な設備が魅力

大阪工業大学は、その名のとおり、工学に強い大学です。本格的な研究設備や材料がそろっているので、総合大学では味わえない深い知識と技術を得ることができます。また、学部学科を超えて集まった仲間と同じ目標を持って取り組むプロジェクトも多く、専門分野以外にも視野を広げる機会があるのも魅力です。何ごとにも積極的に取り組み、充実した学生生活を送ってください。

  • 写真:正方形の透明なプラスチックのような見た目の機械
    大学院時代に制作した、メタンガスから水素原子を抽出するための機械。
  • 写真:椅子に座りインタビューに答える塚本さん
    「深く知識を身に付けてから社会に出たいと思い、大学院に進学しました」と塚本さん。
  • 写真:大学院時代の恩師・長田先生と話す塚本さん
    大学院時代の恩師、長田先生と。
  • 写真:JR西日本のロゴ
    ■西日本旅客鉄道株式会社/1987年、国鉄の分割民営化に伴って設立。運輸業を中心に流通業、不動産業などの事業を展開している。鉄道の走行エリアは近畿地方から北陸、中国地方にわたり、通勤・通学、観光などの足として重要な役割を担っている

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