新しい未来を創る一大プロジェクトに挑戦
幼い頃に観たロボットアニメに憧れて大阪工業大学のロボット工学科に入学しました。学んでいるうちに人の役に立つ仕事がしたいと考えるようになり、お客様に届く製品を作っているメーカーの仕事に魅力を感じて京セラへの就職を決めました。
京セラでは「バーチャルパワープラント」という構想を進めており、複数の分散型電源(家庭用燃料電池や蓄電池、電気自動車など)をネットワークでつなぎ、エネルギーを効率的に活用しようとしています。私はそのなかでエネルギー関連の部署に所属しており、エネルギー環境機器の筐体(きょうたい)・機構を開発する業務に携わっています。まだ世の中にない「モノ」を開発し、新しい時代の架け橋になるかもしれない業務に、大きな期待をもって取り組んでいます。
何のためにロボットはあるべきなのか
大学時代で印象に残っているのは、数多くの実習でものづくりに取り組んだことです。コンセプトを自分で考え、工作機器を使って部品を製作し、ソフトウエアで動かすという一連のプロセスを経験できるのは、ロボット工学科の特徴であり貴重な機会でした。
大阪工業大学は課外活動が充実しており、1年次からロボットづくりに携わることが可能です。私は機械工作研究部に入部し、二足歩行ロボットの製作に挑戦しました。入学するまではアニメのように自由に動き回るロボットに憧れていましたが、理想と現実は違っていて、例えば「歩く」という動作一つにしてもほんの僅かな設計ミスで破綻してしまいます。一つずつの課題を克服するため創意工夫をしながら活動していました。
こうした経験を積み上げることで、独りよがりではなく人の役に立つロボットを自らの手で作りたいと考えるようになり、大学院に進学してより高度な研究に取り組む決意をしました。
大学院で生活支援ロボットを研究
大学院では生活支援ロボットシステム研究室で、人の生活に役立つロボットを作るという志のもとで研究に取り組みました。具体的には人の音声(指示)を正確に理解し、要求した行動をロボットが正しく行えるように研究していましたが、1アクションを作るだけでも難解な処理を要するためなかなか思い通りにはいきません。例えば、ペットボトルを認識してそれを取ってくる動作をさせる研究では、ロボットのカメラにペットボトルを認識させる必要があります。負荷をかけないように少ない処理数で認識させようとすると、倒れているときのように通常と違う状態だとペットボトルを認識できなくなるなど、難しい課題が次々と出てきて理想のロボットまでの道のりは遠いと感じました。しかし、こうした研究が受け継がれることで一歩ずつ進化していくと考えると、夢のある研究に携わることが出来たと思っています。
知識や技術を駆使して創意工夫をする経験を
大阪工業大学での学びは、工作機器などを使いながら生きたものづくりを実践できるところに大きな魅力があります。身に付けた知識や技術を駆使して創意工夫をし、決められた期限内に最大限の成果を出すというステップは、社会で仕事をするうえでもまったく同じです。苦手な分野にも積極的にチャレンジして、エンジニアとしての土台を築いてほしいと思います。
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研究開発の醍醐味は自分で答えを新たに作っていくこと。皆さんの未来を支える製品を世に送り出したいですね。 -
実習時に作製したロボットハンド -
研究していた日常生活支援ロボットASAHI -
現在は、神奈川県横浜市に新設された研究所で業務を行っています。