ここで研究室の研究内容を紹介しています。
無線電力伝送の研究では、身の回りにある極めて小さな電波から、電力を生み出す新しい集積回路とシステムを開発しています。 この電波から得られ電力によって各種センサーを動作させつつ、データをデバイスから親機に無線で送信するために、電池なしで駆動可能なトランシー バ(送受信回路)の研究も進めております。 無線送信時の消費電力削減は大きな課題であり、方向性結合器を応用する回路も開発しています。
現在進行中のプロジェクトは、主に受電用のデバイズであるレクテナの開発で、アンテナと整流回路をプリント基板と集積回路上に設計と、電力の受 電状態によらずに高効率な整流を維持可能な制御技術(MPPT:Maximum Power Point Tracking)の開発です。
方向性結合器(Directional Coupler)は、高周波信号の一部を取り出すデバイスで、進行する信号と逆行する信号を別々に検出できることが 特徴です。スマートフォンのような無線通信端末の送信信号の電力を検出したり、アンテナから反射してしまう信号を検出しています。信号の強度に 応じて、制御回路が送信信号電力を調整したり、アンテナのインピーダンスを最適化したりといった使われ方が2020年ごろから始まりました。
本プロジェクトにおきましては、集積回路内やプリント基板上において、高性能なカプラーをいかに小型化して実装するかに関する研究に取り組んでおります。
RF-FE(Radio Frequency Front-End)は、高周波無線通信信号の送受信においてアンテナの直近で機能する回路・デバイス群を指します。 語源は「無線周波数(RF)」と「前段(Front-End)」に由来しており、主な役割は、アンテナからの信号を受信・増幅・フィルタ処理 し、必要に応じて周波数変換を行うことです。送信時にはその逆の処理を担います。代表的な構成要素には、LNA(低雑音増幅 器)、PA(電力増幅器)、バンドパスフィルタ、スイッチ、カプラなどがあります。携帯電話やIoT機器、無線通信システムに広く用いられており、通 信品質と消費電力の最適化に寄与しております。日米の企業が最先端技術を保有していることも特徴です。
妨害信号の影響を受けにくいLNAや、フェーズドアレイアンテナ向けPAの開発に取り組んでいます。