1922年に「専門職業人の育成」という建学の精神を掲げて創立した本学は、社会の動向や時代の要請 に応じた多様な人材を受け入れ、その育成に努めてまいりました。当初から夜間部を設置し、社会人教育に 力を注いできたことは象徴的です。その後100年間、多彩な工学分野での活躍を志す多様な人材に学修機 会を提供し、11万人を超える”現場で活躍できる”卒業生を輩出し、国内外の社会の多面的な発展に寄与 してきました。その社会の発展の軌跡の中には、本学の女子卒業生の足跡も刻まれていると自負しています。
現在、本学学生の中で女子が占める割合は、学科あるいは学年によって3~4割に上る分野もありますが、 全学で平均すると例年15%程度です。これは、日本国内の工学系学生における女子比率とほぼ一致してい ます。しかし本学の女子学生の中には、正課授業はもちろん、全国有数の実力を誇る学生プロジェクトや課 外活動などでリーダー的存在として活発に活動する学生もいます。また、卒業後も各界において卓越した実 力を発揮している女性も少なくありません。女性人材の登用を求めて近年の日本や世界で主張されている声 を聞くまでもなく、本学においてはすでに、今後の組織や社会の活性化に向けて女性の能力や視点が不可欠 であることは、一つの実体験であると言えます。
今後も本学は、多様性あふれる教育研究環境の充実を図ることで、多面的な観点から知的・技術的創造を 実現でき、確かな人間力を備えた専門職業人を養成してまいります。学修者だけでなく教員・研究者の多様 性についても拡充を図り、構成員全員が学修や教育・研究に取り組みやすく、実力を発揮できるキャンパス 環境整備に、これまで以上に努めていく所存です。こうした本学の取り組みが、理工系女子人材の育成にとど まらず、やがて社会全体の多様性向上につながることを期待しています。