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研究室VOICE コンクリートのガンを治す!

工学部

Profile

工学部都市デザイン工学科

三方 康弘教授

コンクリート工学研究室

写真-1 アルカリ骨材反応によりひび割れが生じた鉄筋コンクリート
 私達の身の回りには、コンクリートで造られたものがたくさんあります。例えば、皆さんが住んでいる住宅をはじめ、橋、トンネル等様々な施設にコンクリートが使われています。コンクリートで造られた様々な施設は、私達が安全で安心した生活を営む上で欠かすことができません。
 
 ところが、堅くて頑丈なイメージのコンクリートですが、長く使っていると、ひび割れやコンクリート中の鉄筋が錆びる等の症状が発生することがあります。とくに、最近の調査で、道路の橋や新幹線の橋を支える柱(橋脚と呼びます)において、コンクリートの材料に用いられているある種類の砂や石が、雨水等の影響で膨張し、コンクリートにひび割れを発生させたり、コンクリート中の鉄筋を切ってしまうという深刻な状況が確認されました。この現象をアルカリ骨材反応(こつざいはんのう)と言い、「コンクリートのガン」とも呼ばれています。(写真-1,2参照)
写真-2 アルカリ骨材反応により鉄筋が切れた事例
 鉄筋コンクリートにおいて鉄筋が切れることは、人間の体に例えると、骨折した状態と言えます。骨折した場合には、身体を詳しく診察しないと治療出来ません。コンクリートの場合も同様で、劣化したコンクリートの橋を治療(補修)するためには、どの程度、痛んでいるのか等について知ることが重要です。
 
 そこで、コンクリート研究室では、アルカリ骨材反応を起こしやすい種類の砂や石を用いて、劣化を生じた橋脚のコンクリートに近い条件でモデルを作成し実験を行い、劣化したコンクリートがどの程度の力を支えることが出来るのかについて研究を行っています。写真-3では、力をかけることによりコンクリートが変形しています。
写真-3 モデルによる実験
 この研究により、アルカリ骨材反応を生じたコンクリートの橋に自動車や電車が走行しても安全であるか確認でき、さらに、劣化した橋をいつ頃、どのような治療(補修)を行えばよいかが解るようになります。
コンクリート製の橋や建物が丈夫で美しく長持ちするように、コンクリートの病気と向き合って研究しています。