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研究室VOICE 情報ネットワークの設計(通信方式研究室)

情報科学部

Profile

情報科学部ネットワークデザイン学科

山内 雪路教授

通信方式研究室

ネットワークは縁の下の力持ち
皆さんは「情報ネットワーク」と聞いて何を連想しますか? ほとんどの人はケータイとインターネットを連想するのではないでしょうか。ケータイもインターネットも今では生活の中に溶け込んで無くてはならないものに成長しましたが、逆に生徒さんや親御さんから見ると「勉強を邪魔するもの」「時間を浪費する遊び」という位置づけに成り下がっているかもしれませんね。
 
縁の下の力持ち
情報技術全体の中でネットワークは「インフラ」と呼ばれる縁の下の力持ちのような存在です。社会で必要不可欠となったネットワークの設計技術を学ぶ上でのひとつの大きな目標は、膨大な数の人やコンピューターが流す情報を正確にコントロールして、迅速に誤り無く目的の相手に伝える方法を追求するところにあります。またネットワークの規模が大きくなっても破綻しない、柔軟性のあるシステム設計も重要な課題です。
Network BootCamp
ベースラインの測定や優先度制御
データを流す土管(通信回線や電波資源のこと)が十分太く、また制御の能力が潤沢にあればこのようなシステム設計は簡単です。しかし人間がコミュニケーションのために作り出すデータ量は1日のうちの時間帯や季節によって大きく変動し、また特別な行事や災害などがあると突発的に激増します。このような流量の変動が激しいネットワークを、考えられる上限値で設計すると平常時は無駄が多すぎてコストがとんでもないことになります。そこで平常時のデータ量を慎重に測定したり、設計値を超えたときの優先度制御を行う必要があり、確率統計の学問の成果を使って設計を行います。
 
プロトコルの研究と人間関係
ところでディジタルなコミュニケーションでは、情報の表現方法やデータのやり取りの手順について関係者間で合意がなければ対話も成り立ちません。このような合意事項のことを専門用語で「プロトコル」と呼びます。プロトコルを詳しく学ぶことは重要ですが、互いに利害関係を持つ多数の関係者の間で合意を形成する(標準化する)手腕も同じように重要です。通信方式研究室では情報ネットワークで使われる多様なプロトコルの研究や検証を行っていますが、このような人間臭い調整能力を併せて訓練する場としてNetwork BootCampという課外講座を展開しています。これは専門技術を極めるというだけでなく、就職戦線を勝ち抜くきわめて重要な能力開発に直結しています。これについては回を改めて紹介します。