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研究室VOICE 生体機能を見守るセンサー

工学部

Profile

工学部応用化学科

森内 隆代教授

認識化学・物性解析研究室

生体試料測定
体内のイオンの働き
体内では、人間が生きていくうえで欠かすことのできない重要な役割を、金属イオンが果たしています。例えば、「ナトリウムNa+」は水分を調節し、「カリウムK+」は筋肉や神経の働きを調節しています。「ナトリウムNa+」は血液中に約3.2 g/L含まれていますが、たった10%でも急激に低下すると意識が無くなることもあります。一方、「カリウムK+」は約0.16 g/L含まれていますが、2倍に上昇すれば重篤な不整脈の原因となって命を落とす危険があります。科学技術の進歩と伴に、ホルモンバランスや代謝・免疫機能そして遺伝子発現や記憶などにも、金属イオンが大きく関与していることが最近分かってきました。そのため、金属イオンを測定しバランスの崩れを調べて体内の障害を診断することが、生体機能を見守るために重要であると言われるようになっています。
食物細胞観察
社会の求める実用センサー:ケミカルセンサー(化学センサー)
医療現場では、生体試料に含まれるそれぞれの金属イオン濃度を精密に測定することが必要となりますが、例えばアルカリ金属に分類される「ナトリウムNa+」と「カリウムK+」は性質が類似しており、これら性質の類似する金属イオンの識別は非常に難しいという問題点があります。また、ほとんどの金属イオンは体内にごく微量しか含まれていません。つまり、微量な金属イオンを精度よく識別し簡便・迅速に測定できるセンサーの開発が、社会で求められているのです。これを可能とするのが、ケミカルセンサーです。ケミカルセンサーとは、特定イオン(分子)だけを認識・識別し、電位応答や蛍光発光(光応答)といった信号で知らせてくれる認識化合物を使用するセンサーです。化学の世界では、目的とする認識化合物の設計・創製が自由に出来るようになってきています。
当認識化学・物性解析研究室では、臨床検査用の生化学自動分析装置で使用可能なナトリウム認識化合物を開発してきました。現在は、脳の記憶に密接に関係することが明らかとなってきた脳の中で四番目に多い亜鉛イオンに着目しています。そして、類似する金属イオンの共存下でも亜鉛イオンを識別できる蛍光性認識化合物の創製に成功しています。さらに、亜鉛イオンが欠乏すると味覚障害が出てくるので、この認識化合物を用いた食物中の亜鉛イオンの検出にも取り組んでいます。
ケミカルセンサーの研究開発は、生体細胞内の金属イオンのリアルタイム測定へと展開でき、将来的にはまだ明らかになっていない生体機能の解明に繋がってゆくと期待されています。