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研究室VOICE プラズマを使い人間と環境に優しい技術を開発する

工学部

Profile

工学部電気電子システム工学科

眞銅 雅子准教授

プラズマ科学研究室

ニンジン滅菌
皆さんは「プラズマ」って知っていますか?最近では空気清浄機やエアコンでよく耳にしますね。自然界に目を向けると雷やオーロラ、太陽にプラズマが見られます。ではプラズマはどのようにして作られるのでしょうか?物質はエネルギーが低い状態から高い状態へ、固体→液体→気体と姿を変えます。そして気体よりさらにエネルギーが高い状態がプラズマ状態です。その正体は、気体原子・分子から飛び出した電子(電子が飛び出すことを電離といいます)、電子がなくなったことで出来た正イオン、および中性原子・分子の集合体です。蛍光灯もプラズマですが、1cm3あたりに10億個以上の正イオンと電子がいます。電子は平均600km/秒の速度で走っていて、気体原子・分子と衝突してはイオンや反応しやすい活性種を作ります。これだけエネルギーの高い粒子が集まると、通常の気体では起こり得ない反応などが起きるので、それを利用して色々な物を作りだすことが出来るのです。例えば、皆さんが使っているパソコンやスマホの基幹部品である半導体も、プラズマを使って薄膜を作ったり削ったりする作業の繰り返しで作られます。つまり、プラズマは私たちの生活になくてはならない存在なのです。
プラズマ物性工学研究室では、プラズマを様々な分野に応用する技術を開発しています。たとえば、種子の滅菌です。市販されているキュウリやニンジンなどの種子は、すでにきちんと滅菌されています。種子によって病原体が運ばれたり、発病したりするのを防ぐためです。滅菌作業で重要なのは、菌を除くことはもちろんですが、種子本来の生理は護ること、かつ人間にとって安全であること、という点です。そして有毒なガスや液体を使わない、人間や環境に優しい滅菌技術として有望なのがプラズマ滅菌技術です。プラズマ中で作られた活性種が滅菌に有効とされていますが、プラズマを照射する過程で菌や種子に何が起きているかはまだ分かっていません。そこで、私たちは様々な方法で生成したプラズマを使用して、プラズマを照射するとなぜ滅菌できるのかを一つ一つ調べています。