大阪工業大学

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研究室VOICE 設計パラメータの最適な組み合わせを素早く見つける技術

工学部

Profile

工学部機械工学科

宮部 正洋教授

流体機械研究室

図1:羽根車周りのキャビテーション解析事例
 流体機械研究室では流体工学をベースとした技術で多種多様なアプリケーションに適用される流体機械の効率向上や、IoT(Internet of Things)を活用する上で運用しやすい性能に改善するための研究を行っています。ここで行っている研究は即、社会に貢献できるものばかりです。
 機械に興味のある方の中にはロケット、航空機や自動車が好きな方も多いことと思います。ロケットエンジンの推進剤移送には高速回転ポンプが使われています。航空機にはジェットエンジンやプロペラが使われていますし、自動車には冷却水用ポンプや空調用ファンなどのターボ機械が使われています。また、私たちの日々の暮らしには電気や水が不可欠ですが、ターボ機械はそれらを支える社会基盤(インフラ)で大活躍しています。
図2:PIVによる羽根車周りの速度計測事例
 ターボ機械の翼は3次元曲面を有した、とても複雑な形をしています。要求される性能は多岐にわたるため、設計者がそれらを満足するような形状を効率的に決定することは容易ではありません。そこで設計者は単に性能に関連する関数を設定するだけで、最適な設計パラメータの組み合わせをコンピュータに自動で導出させる研究を行っています。以下に事例を示します。図1は高速コンピュータを使って流れの計算(Computational Fluid Dynamics)を行った結果です。実験では限られた情報しか得られませんが、計算では流れ場全体における様々な物理量を知ることができる上に翼の設計を少し変えた影響を分析することができる利点があります。ところが設計点から少しずれると性能予測精度が低下するため、実験で確認する必要があります。私たちは3Dプリンターを使って翼などを製作し、性能実験を行うとともに、レーザーと高速度カメラを組み合わせた手法で流れの計測を行っています。図2はParticle Image Velocimetryという手法で計測したものです。実験と計算を併用し、目的関数を工夫することで予測精度と信頼性の向上を図っています。
 地球温暖化への影響が大きい石炭に代わるエネルギー媒体である液化天然ガス(LNG)や未来のエネルギー媒体として期待される液体水素の移送などでもターボ機械は活躍します。私たちの生活環境の変化によってアプリケーションやシステムの運用方法が変わるためターボ機械は永続的に進化します。社会にとってより良いものを一緒に研究し、提案しましょう。