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研究室VOICE 患者が安心して使える人工臓器を研究する

工学部

Profile

工学部生命工学科

﨑山 亮一准教授

バイオ人工臓器

バイオ腹膜(中皮細胞シート)
 「人工臓器」ときくと、臓器を体外で作製し、それを体内の臓器と置き換えることで治療するイメージが未だに強いと思います。私が大学で研究に携わった最初の日、人工腎臓として円筒のプラスチックをみせられた時に、「これが人工腎臓か」と現実と映画のギャップに驚かされた日を今でも思い出します。
 1990年代では、人工臓器というと機械的な人工物がほとんどであり、臓器そのものや全機械の置換型を作ることは映画の世界の中だけでした。それから、20年の歳月が流れてる間、人工腎臓(血液浄化器)では透析膜の性能の向上により、低い除去効率であった物質を限られた時間内に高く除去できるようになり、生体適合性も向上しました。一方、バイオでは、1990年代、人工肝臓などのデバイスの開発と細胞の高機能発現が研究されていました。2006年のiPS細胞の発見により、日本国内では再生医療の現実味が急速に帯び始め、2019年には日本発のiPS細胞を用いた臨床治験が進んでいます。
血液浄化器評価実験
 バイオ人工臓器研究室では、化学工学、組織工学を基礎に、医工学や再生医療へ応用できる人材を育成し、近未来の医療現場で活躍できるBioMedical Engineer (BME)を輩出することを目的に教育・研究を行っています。研究では、人工臓器とバイオ人工臓器を柱に、今まで培ってきた研究を学生とともに展開しています。人工臓器では、人工腎臓である血液浄化器に着目し、操作条件による物質除去の変化や膜素材の生体適合性の評価を通して、それぞれの血液浄化器の特徴を研究しています。一方、バイオ人工臓器では、腹膜や肝臓、腎臓、心臓などの臓器や組織に着目し、体外でモデルを作製し、医療医薬品評価に応用することや障害臓器の再生医療を研究しています。
 令和を駆け抜ける将来のBMEと共に日本から世界の医療に貢献できる人工臓器研究を展開します。