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研究室VOICE 建築材料に興味津々

工学部

Profile

工学部建築学科

中村 成春教授

材料・生産・構法研究室

図と地を制御した土壁のひび割れ模様化
 建物を形容するとき,「コンクリートの家」や「木の家」「石造りの家」「土の家」「ガラスの建物」など材料名を冠することが多いです。建築材料の品質や性質が有する一般イメージを,建物の性能にオーバーラップさせて表現しています。
 
 「コンクリート」と形容すると,固い,頑丈な,冷たい,人工的などの意味を,「木」と形容すると,柔らかい,温かい,自然的などの意味を,建物の性能に見立てています。材料による建物の表層のテクスチャ(質感)を,建物による空間の本質や個性に短絡し,その見立てた個性の良し悪しから,魅力の強弱度合いを判断しています。
 
 それで,建築材料や建物に興味津々で,建築材料研究室では,その様々な魅力にかかわる仕組みを探求しています。
顔表現で擬人化された建物外観と福笑い的検討
 例えば,イギリスのアンディー・ゴールズワージーという芸術家がひび割れ壁面の芸術作品を発表していました。このひび割れ壁面の作品に一目惚れして,土壁のテクスチャ研究のひとつとして,土壁のひび割れ模様化を工学的に制御する方法を研究しました。土壁の表層を意図的にひび割れさせて,図と地による模様化の制御方法を検討したりしました。
 
 例えば,建物の外観を眺めていると,一目瞭然に顔のように見える建物があります。意図して顔認識できるように意匠表現している建物もあれば,意図せず顔認識できる建物もあります。この顔表現の建築構法的な成立条件や顔認識できる許容限界について,「福笑い」の原理を工学的に考えて研究しました。顔のパーツの目や鼻や口にあたる窓やドアなどの配置や大きさや相対距離の関係を検討したりしました。
 
 かんな引き立ての木目模様が美しいすべすべな木肌,しっとり深みのあるつやつやな漆塗り肌,陽光きらめくざらざらな花崗岩肌,姿が映るつるつるの大理石肌,風になびくふかふかな綿毛の布地肌。これまで思わず手触りした材料テクスチャ実例になります。いいなと感じた表層の肌理(きめ)が,建物や街並みのたたずまいの魅力に直結した場面になります。このように,建築材料の研究は,興味津々から始まります。
 
 
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