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研究室VOICE 人と動植物が共存できる川づくりへの挑戦

工学部

Profile

工学部都市デザイン工学科

小川 芳也准教授

沈下・傾斜した橋脚と砂州の離隔
  みなさんこんにちは。都市デザイン工学科特任准教授の小川です。
 ここでは、私の取り組んでいる研究のひとつを紹介させていただきます。
 
 河川の堤防と堤防に挟まれた河川区域には、護岸や橋脚などたくさんの構造物が設置されています。また、河川を構成する材料のひとつである土砂が堆積した砂州や砂州上に植生や樹木が繁茂した砂州も多くの河川で確認することができます。このように河川は多くの人工構造物や自然に形成された地形で上流から河口まで繋がっています。私たちはこの河川から水資源や食資源などを享受していますが、この河川空間を生息域として活動する動植物もいることから、河川の恩恵を多くの生命体が得ていることが分かります。
 
植生が繁茂した砂州と澪筋・周布橋
 このように人と動植物が共生する河川ですが、2021年8月の大雨の際に島根県浜田市内を流下する周布川(すふがわ)に掛かる周布橋の橋脚が沈下・傾斜して使用できない状況が発生しました。橋脚近傍の川底の土砂が大雨によって掘れてしまい(局所洗掘)橋脚が安定性を失ったことが原因でした。同様の事象は、近年でも2018年4月:大和川(大阪府)、2023年5月:高梁川(岡山県)など各地で発生しています。現地調査したところ、周布橋の上下流には植生が繁茂した砂州とその影響を受けて狭い範囲に集中している澪筋(流水の箇所)、沈下・傾斜した橋脚と植生が繁茂した砂州は近接しているが繋がっていないことなどを確認することができました。また、大雨による洪水時には、砂州上を流下して橋脚近傍で落ち込む流れや澪筋から回り込む流れなどにより複雑な流れが橋脚近傍で発生することも想像することができました。
 
 対策としては、色々な考えがあり全国各地で試行されていますが、水圏環境研究室では橋脚の安定性を確保したうえで砂州を管理することができれば人と動植物が共存できると考えて、模型実験・数値シミュレーション・現地調査などにより、学生と研究に取り組んでいます。
 
 
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