暮らしを支える化学。今も将来も

SNSやホームページなどから情報がサクサクと得られるようになり、デジタル活用は暮らしに欠かせないテクノロジーとなりました。しかしながら、リアルな体験や学びに真の楽しみや価値があることは言うまでもありません。化学(ケミストリー)の分野でも近年はシミュレーションや機械学習などが活用される時代になっていますが、リアルに行われる研究開発や『ものづくり』が化学の面白いところだと思っています。大学の研究室で生まれる深い友情やヒューマンネットワークも理系ならではの楽しさです。
化学は暮らしを支えるサイエンスです。世界の中で日本の化学製品の出荷額は中国、アメリカ、ドイツに次いで第4位に位置しており1)、グローバルに強い技術力をもっています。とても大きな経済規模があります。サステナブルな暮らしの実現に向けて、今後も化学のやるべき仕事はたくさん残されています。
先生の研究テーマ。有機化学で『環境発電』を

医薬品や染料、糖類、たんぱく質、高分子などは元素周期表にある数種類の元素からできています。炭素にいろいろな元素を結び付ける有機化学を学べば、世界初の分子をつくれるようになり、どのような性質を示すのかを解き明かすことができます。
『環境発電』というのは、身の周りにある小さなエネルギー(今の技術では利用価値がないほどに)から微小な電力を生み出す技術のことです。暮らしには熱がつきもので、自動車や家電製品、工場の配管、人の体からも熱エネルギーが出ています。熱を電気に変えるテクノロジーが進化したら、コンセントや電池がなくても、熱が電源になり、膨大な数の無線センサーに利用できることが注目されています。
