大阪工業大学

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研究室VOICE 生命工学、生命科学、生体工学、生体医工学、生物工学、臨床工学、どう違う?

工学部

Profile

工学部生命工学科

藤里 俊哉教授

バイオマテリアル研究室

図1.心臓移植手術中に人工心肺装置を操作する臨床工学技士さん(前職の国立循環器病研究センターで撮影)
 どれも生き物が対象ですが、どう違うのでしょう? 私なりに区別を説明します(大体なので突っ込まないでくださいね)。なお、科学は解明・発見を、工学は開発・発明を目指します。
 
 生命科学は、細胞や遺伝子、分子の観点から生命活動の理解が目的です(高校理科の生物)。
 生体工学・生体医工学は、心電図やCTなどの診断装置、人工臓器などの治療機器の開発が目的です(高校理科の物理・化学)。臨床工学もほぼ同じですが、臨床工学技士という国家資格の取得を目指すことが多いです。
 生物工学は、生命反応を利用したものづくりです。日本では古くから発酵食品が作られてきました。現在は、酵素反応や細胞を利用したバイオものづくりが注目されています(高校理科の生物・物理)。
 生命工学は、全部含むいいとこ取りです。大阪工業大学生命工学科の教育は基幹科目と、生命科学、医工学、臨床工学の3つの専門分野から成り、各分野の教授陣が揃っています。2025年度からは入学後に臨床工学技士を目指すことも可能になりました(図1)。
図2.電気刺激を与えて培養中の培養筋肉
私は、工学部高分子化学科出身の医工学系で、専門は組織工学です。組織工学は細胞やタンパク質で身体の臓器や組織をつくることを目指していて、再生医療に含まれます。今は、筋肉の細胞とコラーゲンというタンパク質から筋肉(培養筋肉)をつくっています。筋肉から分泌されるマイオカインというホルモンがどのような運動で多く分泌されるか(図2)、筋肉を欠損した患者さんに移植できないか(図3)、そして培養食肉として食べられないか、研究しています。マイオカインは沢山あり、抗がん作用や認知症改善効果が認められています。運動が健康に良いのは、マイオカインのおかげですね。また、欠損した筋肉の修復は大きな課題で、世界中で研究が進められていますが、まだまだです。私も医学部と共同で研究を進めています。培養食肉も世界中で開発が進められています。
 近い将来、傷ついたり病気になった臓器を交換したり、工場で人工的に生産した食肉が食卓に並ぶ日も近いでしょう。あなたも、組織工学分野で人類の福祉に貢献しませんか。
図3.筋肉欠損部に足場材料を移植したラット
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