近年，民間企業も含めて世界各国による宇宙開発が活発になっています．その中でも特に，アメリカがアポロ計画以来の有人月面探査となるアルテミス計画を進めており，JAXA（宇宙航空研究開発機構）を中心に日本企業も参画しています．今後，計画が進むにつれて，ますます身近に宇宙開発を感じことができるので，楽しみですね．
このような有人探査ミッションでは，有人探査機の信頼性や安全性が重要だと考えています．残念ながら過去の惑星探査機は，惑星への着陸に度々失敗しています．着陸時の異常部位は，計測系・推進系・通信系など多岐に渡ります．これらの中でも我々の研究室では，計測系や推進系に影響を及ぼす，砂の吹き上がりに関して研究に取り組んでいます．探査機は，着陸用エンジンの逆噴射によって，ゆっくりと惑星へ下降していきます．その際，逆噴射によって惑星に堆積した砂が吹き上がり（図1），センサー誤検知や視界不良，予期せぬ探査機への外力が発生します．事前に砂の吹き上がり挙動が把握できれば，安全に着地することが可能です．しかし，空気が薄く（ほとんど真空），重力も小さい惑星では，砂の吹き上がり挙動を事前に把握することは容易ではありません．
我々の研究室では，海外の大学と協力して，大型真空装置を用いて砂の吹き上がり挙動を実験的に調査しています（図2）．カメラとレーザー光源を用いた特殊な計測機器を使って，砂の拡散速度・角度を明らかにしました．この他にも，惑星の地形が吹き上がりに影響することも分かってきました．このように砂の吹き上がり挙動を理解して，事前に対処することで，信頼性と安全性を高めた有人輸送を実現していきます．
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