応用化学科
認識化学・物性解析研究室

臨床・細胞観察用化学センサー
体内では、人間が生きていくうえで欠かすことのできない重要な役割を、金属イオンが果たしています。そのため、金属イオンを測定しバランスの崩れを調べて体内の障害を診断することが、生体機能を見守るために重要であると言われるようになっています。
当研究室では、「目的のイオン・分子だけを認識・識別する化合物」を設計・合成し、血液等の臨床検査用の”イオン選択性電極”やイオンの場所や種類を調べる細胞観察用の”蛍光プローブ”など、実用的な化学センサーの開発に取り組んでいます。
一方で、SDGsの取り組みとして、欧州RoHS2指令で規制されている軟質塩ビから染み出した可塑剤の新規物性評価法の研究を行っています。

臨床・細胞観察用化学センサー
主な研究テーマ
- 生体機能模倣を目指した感温型イオンセンサーの開発
- アミノ酸やオリゴペプチドを用いるイオンセンサーの開発
- 食物中の亜鉛イオン検出蛍光プローブの創製
- RoHS2指令やSDGsに向けた軟質塩ビ可塑剤の物性評価法の研究
- 分子認識特性を有する新規化合物の設計および創製
指導教員
森内 隆代
教授
(モリウチ タカヨ)
専門分野
- 認識化学
- 化学センサー
- ケミカルセンシング
- 物性評価
研究室がめざすSDGs
教員メッセージ
当研究室では、研究生活を通して、一人ひとりの『何?』『なぜ?』『どうすればいい?』『やってみよう』『調べてみよう』という姿勢を磨き・培ってゆきます。
“これをしなさい”と言われた事をやることは、しんどいかもしれませんが実は簡単な事なのです。社会人となっても、学んでいない事やこれまでやったことのない事でも、また、どのような仕事に対しても、『やりますよ』と取り組むことができる、つまり、未知の仕事をできるだけ抵抗なく積極的に取り組むことができる人材となることが、当研究室の研究生活の目標です。
この研究がかなえる未来
金属イオンは、生体内で、ホルモンバランスや代謝などに大きく関与しています。例えば、亜鉛イオンは、蛋白質の構造保持や、神経伝達や記憶に関する部分と密接に関係していることが分かってきました。
当研究室で創製している化合物は、特定イオンのみを認識し、蛍光発光や電位応答で知らせてくれます。つまり、このケミカルセンサーの研究は、生体細胞内のイオンのリアルタイム測定へと展開でき、将来的にはまだ明らかになっていない生体機能の解明に繋がってゆくと期待されています。
また、軟質塩ビプラスチックの可塑剤は時間とともに接触移行や空気移行するため規制が始まりましたが、評価法がないため可塑剤の代替開発が進んでいません。新規手法として確立しようとしている当研究室の物性評価法は、SDGsの取り組みとして期待されています。