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ニュース 国際交流センターがマレーシアサインズ大学と国際PBLを実施

トピックス トピックス 国際交流センター
国際交流センターは、国立研究開発法人科学技術振興機構の2023 年度国際青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプログラム)の支援を受け、マレーシアサインズ大学から学生を受入れ、2023年9月10日〜9月16日まで大宮キャンパスで国際PBL(プロジェクトベースドラーニング)プログラムを実施しました。


プログラムテーマは「伝統工芸技術から学ぶSDGs教育プログラム」。日本、マレーシア両国の学生が、伝統工芸技術の歴史や技術、課題点等について理解し、環境等に配慮したSDGs達成への仕組みについて、それぞれの専門分野から取組等を提案するものです。


プログラム前半は、プログラムのオリエンテーションとして、プロジェクト全体説明、参加者の自己紹介、両大学の紹介を行い、参加者間の親交を深めました。次に、日本・マレーシアの伝統工芸品、特に染織に焦点を当てて、両大学の学生がプレゼンテーションを行い、意見交換を行いました。マレーシアサインズ大学のプレゼンテーションでは、マレーシアの伝統工芸である「バティック(ろうけつ染)」の色塗り体験を両大学の学生がペアとなって行いました。


その後、工芸染織に用いる染料の分子構造と特性評価を工業化学の視点から理解するために、教員からのレクチャー及び実験を行いました。染料には多種類の有機化合物が使用されており、酸化還元反応のような化学変換現象を用いた染色技術を理解するため、インディゴを例に分子構造式を理解するとともに酸化型および還元型でそれぞれ疎水性と親水性を示すこと、その物質の特性の違いにより染めることが可能となることを理解しました。つぎに、実際に酸化剤(空気中の酸素)と還元剤(糖類)を用いたインディゴ誘導体の色の変化を観察しました。単純な実験にもかかわらず、化学反応による色の変化に参加者の真剣な眼差しとともに感動していました。


プログラム後半は日本の伝統技術の現場に触れるため、徳島県を訪れました。徳島県では、まず、アワガミファクトリー・阿波和紙伝統産業会館を訪問し、藍染和紙について理解を深めました。マレーシアの学生諸君の中には、実際に椰子殻を使ったリサイクルペーパーの作製を勉強している学生もおり、日本の製紙会社でインターンシップを行う予定の学生もいたために、天然物質である原材料を用いて、実際に紙漉きに興味深く取り組んで体験しました。次に藍住町歴史館「藍の館」を訪問し、伝統的な藍染めに関する理解を深め、ハンカチの藍染めを体験しました。実際に大学で実験した化学反応の理解と、伝統産業の操作方法が合致したのか、一つ一つの操作手順に理解を示していました。また、歴史ある醤油製造工場「福寿醤油」を見学し、日本の発酵食品について理解を深めました。マレーシアの学生諸君の中に、発酵学を勉強している学生がいたため、醤油製造の工程や設備に興味深く見入っていました。また、社長様の計らいで、どのような手順を経るとどのような味に変化していくのか、について体験させていただきました。


大阪に戻ってからは、これまでのプログラム内容を振り返り、グループで成果発表のプレゼンテーションを作成し、報告会を行いました。参加した学生はプログラムを通して、両国の伝統技術の歴史や課題に触れ、学生それぞれの専門分野におけるSDGsの課題や取り組みについて理解を深めることができました。


最後に、さくらサイエンスプログラムのご支援に心から感謝申し上げます。このプログラムを通じて、マレーシアサインズ大学と大阪工業大学の学術交流が今後も一層発展することは勿論、学生たちにとっては貴重な学びの機会となりました。