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ニュース センター利用院生が受賞

トピックス ナノ材研
当センターで研究をしている孫屹君(工学研究科電気電子工学専攻 博士後期課程2年)と佐々木祥太君(同専攻 博士前期課程2年)が、3月19日から3月22日まで東京工業大学大岡山キャンパスで開催された2016年第63回応用物理学会春季学術講演会で発表を行い、Poster Awardを受賞しました。心からお祝いを申し上げます。

この賞は、応用物理学会の講演会において、応用物理学の発展に貢献しうる優秀なポスター講演を行った会員を表彰し、その成果を称えるもので、今回はポスター発表1189件のうち24件が選出されました。受賞は約50名に1名という難関で、全国の国公私立大学のほか公的研究機関の方々も含めた中での受賞であり、そのうち2件が本センターの学生であることは快挙であると言えます。

孫君の受賞対象となった講演は「酸化亜鉛を用いた透明セルフスイッチングナノダイオードの作製と評価」という題目の発表で、筆頭著者の孫君の他、電気電子工学専攻の芦田浩平君、松田宗平君も含まれ、北海道大学の葛西誠也教授との共同研究です。さらにこの研究は、本学の提携大学であるスペインのサラマンカ大学とも国際共同研究を進展させています。佐々木君は「溶液法により作製したAl添加ZnO薄膜トランジスタの焼結雰囲気によるトランジスタ特性への影響」という題目で発表しました。筆頭著者の佐々木君の他、共同研究者として電気電子工学専攻の木村史哉君、そして同時に受賞した孫君も含まれています。この2件の研究は指導教授である前元利彦教授、共同研究者の佐々誠彦教授、小山政俊特任講師の指導のもとに進めた研究の成果です。発表内容は研究の独創性や本人の貢献度、周到に準備した分りやすいポスターとともに現地でのプレゼンテーションが高く評価されました。

孫君の発表内容については、異種材料の接合を全く用いない新規な整流デバイスであるセルフスイッチングナノダイオードを透明半導体である酸化亜鉛を用いて作製することに成功し、さらに完全透明化と電流の高密度化を実現した内容となっています。将来の透明フレキシブルエレクトロニクス分野に大きく貢献できる成果であることが認められたものと思われます。他方、佐々木君は学部での卒業研究のときからInやGaなどのレアメタルを用いない酸化亜鉛系透明トランジスタの研究に取り組んでおり、その蓄積していた実験データをまとめ発表しました。インクジェットプロセスに向けた前駆体溶液の開発からアルミニウムの最適添加量、熱処理条件などの実験データを詳細に述べ、最終的にインクジェットプロセスを用いたTFTに展開したことが高く評価されたと思われます。

両名とも「研究をともに行なったナノ材研の仲間、ご指導を戴いた先生方に感謝します。酸化亜鉛を用いた新機能複合材料デバイスの開発においてより一層成果があげられるよう頑張ります」と話していました。この受賞を糧に、より一層の飛躍を期待したいと思います。

2016年春季学術講演会Poster Award受賞ポスター講演一覧(学会のホームページ