大阪工業大学

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研究室VOICE もの,心,動きをつなぐプロデュース・デザイン

工学部

Profile

工学部都市デザイン工学科

田中 一成教授

空間デザイン研究室

熊野古道からの可視領域分析
 空間デザイン学は,わたしたちが住む街や村を楽しく住みやすくしようとする研究分野です。わたしたちは朝起きて朝食を食べ,家を出てから駅まで歩いて電車に乗りバスに乗って学校や職場に通います。コロナ禍がなければ休日には遊びに出かけます。疲れが取れる素晴らしいベッドで寝ても朝早くから工事の音がうるさくて,かっこいいキッチンカウンターで食べる朝食が美味しいフランス料理だったら,あるいは,素敵な道のまわりには見晴らしのいい憧れの建築家が設計した建物が建ち,でも,いつも歩きながら建物からの視線が気になったら,最新式車輌に乗っても鉄道線路のすぐ隣に最新式設備の病院があり,楽しい遊園地に行っても隣あって巨大な防波堤と巨大な最先端の工場が稼働していたら,これらのようにひとつひとつが素晴らしくデザインされたものでも,それぞれの関係が空間的・時間的に調整されていなければどうでしょうか。
 
熊野古道の保全範囲を調査するレーザーが捉えた樹木
 これらさまざまなスケールのデザインの相互関係をプロデュースしようとするのが,環境デザインの考え方です。研究室では,この技術と理論を研究しています。
紀伊山地の霊場と参詣道やフランスからスペインへ続くサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路は,道として線形上に指定された世界遺産です。これらと周辺との関係を視覚や聴覚,香りなどから周囲をどこまでどのように守らなければならないかを最新測量技術を用いて分析しています。別の研究では,わたしたちが実際よりなぜか近く感じたり遠く感じたりする道を心理実験から取り出して,これらの道を情報技術を用いてシステム化することにより,災害時に避難しやすい道などを見つける研究をしています。また,わたしたちがコロナ禍で大きく変わった生活環境の中で,自宅で聞こえる気になる音の種類と大きさ,バスや電車での行動パターンなどを行動分析や脳波を用いて明らかにしています。このように,これまで都市計画,土木,建築,造園などの分野でそれぞれ研究されてきたものを関係づけようとする,新たな都市デザイン工学分野の研究を行っています。
 
集中できる脳波の調査