
知的財産学部 知的財産学科 国際法研究室

松井 章浩Matsui Akihiro
教授
ゼミにおいては、国際法の観点から、国際的な知的財産法秩序のあり方を検討課題としています。具体的な検討課題は年度により変わりますが、EU、TPP、経済連携協定における知的財産問題、伝統的知識・遺伝資源、国際的な技術移転に関わる国際法問題などをテーマとしてきました。
国際的な知的財産法秩序は国ごとに異なる知的財産法を前提として、手続面や情報共有を中心に可能な範囲で調和を図っていますが、実体面では必ずしも統一されているわけではありません。さまざまな価値の対立が現れています。
それゆえ、知的財産の観点から国際的なルールの形成過程や適用解釈を検討することは決して簡単ではありませんが、「そもそも」の問題、たとえば、「知的財産とは何か」、「法とは何か」、「国はなぜ存在するのか」という根本的な問題を考えるきっかけにもなります。
Theme 主な研究テーマ
- 主権免除をめぐる国際法と国内法の相克
- 経済安全保障と国際的な知的財産権保護
Research 研究課題
「主権免除をめぐる国際法と国内法の相克」は、韓国における対日慰安婦訴訟と国内法改正案、イタリアにおけるドイツ主権免除事件ICJ判決以降の対ドイツ戦後賠償訴訟、米国法上の国際法違反行為免除例外規定に関する判例、国際法が要求する以上に執行免除を絶対化する各国国内判例を手がかりに、国際法上の主権免除規則とされている規範の変更を試みる国内法の新たな制定・改正、および、国内裁判所の判決は国際法にとって事実に過ぎないのかを問うものです。
「経済安全保障と国際的な知的財産権保護」は、経済安全保障と国際的な知的財産権保護との連関を明らかにするために、とりわけ特許技術の国際的流通が一国あるいは複数国の経済安全保障にどのように影響するかを検討するものです。具体的に、①デジタル技術情報が越境するときの知的財産問題(遺伝資源出所開示WIPO条約、デジタル技術情報の一部を意図的に外国のサーバーに置く行為に対する管轄権行使)、②特許出願非公開制度の実務的運用(特許非公開の対象範囲、損失補償の算定基準、外国特許出願禁止措置の射程、サプライチェーンへの影響)について、経済安全保障の観点から重要度が高い宇宙技術分野、IT・半導体技術分野、医薬品分野に関する特許権を中心に分析しています。
Profile 教員プロフィール

松井 章浩Matsui Akihiro教授
専門分野
- 国際法学
研究室がめざすSDGs
Message from the Faculty 教員メッセージ
知的財産学部、専門職大学院知的財産研究科において、国際法、国際知的財産法、法学の講義を担当しています。
専門職大学院知的財産研究科の専攻幹事、大学院教務の主任も担っていますし、知的財産学部・専門職大学院知的財産研究科共通で、研究(図書関係など)、国際交流の主任も務めていますので、いろいろな場面で学生のみなさんと接することが多いでしょう。大学での学習のこと、研究のこと、将来のことなど、たくさんお話しできることを楽しみにしています。