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ニュース 【学生相談室コラム】学生相談室だより(おおよど276号2021年7月掲載)

トピックス 学生相談
「愚行権(ぐこうけん)」

「愚行権」という言葉を知っていますか?その言葉通り、愚かな行いをする権利のことで、他人から見ていくら愚かに見える行為であっても、誰にも迷惑をかけていない限り、自己決定に委ねられるべきだという考えに基づきます。喫煙、飲酒、治療拒否などがそれに当たると言われています。詳しく説明しだすと複雑な話になるため、この言葉が気になる人はぜひこの権利について調べてみてもらえればと思います。
 あなたは「愚行権」を行使しているでしょうか?私はどうか。よく考えてみると、私の好きな陶芸だって、ヒーヒー言いながら激辛料理を食べることだって、惰眠を貪る(だみんをむさぼる)ことだって、ある人から見たら理解不能な「愚かだなあ・・・」と思えることなのかもしれません。

 何が愚かなことなのか。何が幸せなことなのか。それは、人によって全然違うし、考えれば考えるほどよく分からなくなってきます。だから、自分がしたいことをすれば良いのでしょう。ただし、最終的な結果に対する責任まで自分で背負える“オトナ”の権利ではありますが。「最終的な責任を負う」というところまで含めて考えると、愚行権は嬉しいものでもあり、厳しいものでもあります。考えだすと深みにはまる、愚行権のお話でした。

学生相談室カウンセラー 大谷 真弓

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「ひきこもることの効用」

自粛生活で、家にこもる時間が長くなった人は多いでしょう。これまで家にこもることは、「ひきこもり」と名付けられてネガティブな印象で捉えられてきましたが、新型コロナの影響で、いわば“ひきこもりになること”が世界中で等しく推奨されるようになりました。
 一方、古来より多くの文化で、ひきこもることには創造的な意味が与えられていました。例えば、古代ギリシアでは、夢見による癒やしが行われていました。病に苦しむ人が神殿にこもり、癒やしの夢を見るまで長期間過ごすというもので、インキュベーションと呼ばれました。日本でも同様の夢見による治療はお寺などを中心として行われていました。このように、ある場所に長期間ひきこもることによって特別な体験をすることは、自身の根本的な変容につながると信じられていました。

 今回の自粛期間を経て、みなさんの中に何か変化はあったでしょうか?思いもよらぬ新しい趣味にハマったり、ダイエットに成功したといった貴重な体験を得た人もいるでしょう。ものの見方や考え方などの内面的な変化を意識しないうちに遂げている人もいるかもしれません。

 新型コロナがもたらした社会の変化がどのような影響を自分に与えたのか捉え直してみることは、今後大切な作業になっていくと考えられます。

学生相談室カウンセラー 小畠 純一