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ニュース 【学生相談室コラム】学生相談室だより(おおよど281号2022年7月掲載)

トピックス 学生相談
『今日、何食べる?』

『きのう何食べた?』(よしながふみ著、講談社)という漫画(映像化もされています)をご存知でしょうか。食がテーマですがグルメものではなく、日常の食卓が中心のホームドラマという感じです。炊き込みご飯や煮物、きんぴらなどの家庭料理の描写が丁寧で、ほっこりしてお腹も空いてしまいます。
 この作品では連載中に作中でも年月が過ぎ、人物も年齢を重ねます。お正月やクリスマス、誕生日、季節の味、家族や友人との時間。幸せなとき、悩ましいとき、決断をするとき。日々の食事とともに思い出がつづられていきます。
 私は相談の中でよく、食事のことを聞きます。そこから普段の過ごし方や考え方が少し分かることがあるからです。誰でも、何かしら食べて生きています。量も好みも人それぞれ。どう食べてきたか、は人生の一部です。
 食事をめぐる環境はこの2年でかなり変わり、これからどうなるか分かりません。だからこそ、あなたの近くにいる人と、食事や食べ物の話をしてほしいと思うのです。特別なものでなくても、たとえばお弁当のおかず、好きなおにぎりの具、苦手な食べ物、旅先で食べたおいしいもの、きのうの晩ごはん…。
 今まで知らなかった、その人の一面を知ることができるかもしれません。

学生相談室カウンセラー 山下 彩

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『海からの贈り物』

 『海からの贈り物』(アン・モロウ・リンドバーグ)は、『雪のひとひら』(ポール・ギャリコ)とともに私の友人が最近貸してくれた本です。目の前のことで必死になり、忙しくてしんどくてわけが分からなくなっていたときに、不思議と世界が広がりました。どちらも活字を読み進めながら美しい自然の情景を思い浮かべて「ああ、自分の生き方はこれでよかったのだ」と安心するとともに、自分の知らない世界に連れて行ってくれる友達ってありがたいなあとしみじみしたものです。
 私の学生時代を振り返ってみると、本当に社会に出て働けるのだろうか、大人になっても友達ってできるのだろうかと心配でした。臨床心理士を目指して大学院に進学すると、学部時代に仲の良かった友達たちはさっさと就職してしまい、以前のようにのんびり一緒に時間を過ごすことがなくなってしまったのも、なんだか取り残されたように思った一因です(今の学生さんはとても忙しいうえに感染症対策が求められていて、気軽に集まったりちょっと食事したりするのも気が引けるのに、ましてや徹夜して密室で語り明かすなんてものすごくハードルが高く思えてしまいます)。
 社会人になってみて、そんな高いハードルを乗り越えなくとも困ったときに手を差し伸べてくれる友達ができることがわかり安心しました。自分がどんなことを美しいと感じ、どんなことをやりたいと思うのか、どうすれば自分自身を満たすことができるのか……。手探りではありますが、1回きりの人生、新しい出会いに感謝しながら生きていけたらと思います。

学生相談室カウンセラー 田原 優佳