大阪工業大学

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Voice光学機器メーカーの最前線で
新技術に取り組む
挑戦の原点は、在学中の学びにある

Profile

キヤノン株式会社光学機器事業本部

井本 浩平

2002年 工学部 機械工学科 卒業
2004年 工学研究科 機械工学専攻※ 博士前期課程 修了
※現 電気電子・機械工学専攻

  • 機械工学科
初めて「勉強が楽しい」と感じた大学時代
幼い頃からロボットや車などが大好きで、プラモデル作りなどにも夢中になっていました。キットをそのまま組むのではなく、家にある道具を自分なりに工夫して改造を楽しんでいたことを覚えています。当時から「メカニック」という言葉には、憧れに似た魅力を感じていました。中学、高校と進学するにつれて、メカ好き、機械好きの傾向が明確に。高校では理系コースを選んで、興味を深めていきました。大学は、その名が示す通り質実剛健なイメージを抱いて大阪工業大学へ。それまでに取り組んできた学業の中で、最も成長ができたと改めて思います。それは、「勉強が楽しい」と思えたから。遊びに夢中だった小・中学生の自分に聞かせたら、きっと驚くでしょう。大学、大学院の6年間で学んだすべてが、今の自分に生きています。
多様な出会いでコミュニケーション力が磨かれた
在学中の研究室での学びを振り返れば、まさに現在の仕事の縮図を体験させていただいていたのだと思います。取り組んでいたのは、医療機器への応用ができるような生体との適合性がある新しい圧電材料(機械的ひずみを与えると電圧を生む。また、逆に電圧で機械的ひずみを生じさせる材料)の研究でした。いろいろな論文を読み、目の前の課題をどのようにすれば解決できるのか、道筋をいくつも考えて方針案を練り、文献や解析で検証を繰り返して精度を上げていく。その中で、「これで、うまくいくのでは」という新たな仮説を思いついたときにはグッときました。学生時代には、アルバイトや友達との旅行やスノーボードなどの趣味を楽しんだことも、よく覚えています。いつも一緒にいる友達だけではなく、環境の違うさまざまな人たちと接することができ、多様性があることを学びました。仕事も一人ではできません。スキルや性格の異なる、さまざまなタイプの人と関わり、議論していく必要があります。良いチームは、お互いを尊重し相手を理解することができる。だから、質の高いコミュニケーションができる。このことに気付かせてくれたのが、大学時代の経験だったと思います。
開発の最前線で、半導体製造技術の限界に挑む
幼い頃から持ち続けていた精密光学への興味をそのままに、光学機器メーカーへ就職。現在は、半導体の製造に活用される技術のひとつ、ナノインプリントに携っています。半導体の回路の製造には、光を使って回路を焼き付ける露光技術が用いられてきたのですが、その技術には限界が見え始めていると言われていました。ナノインプリントは、これまでの技術の限界を打ち破るために開発が進められている画期的な技術。従来よりも繊細な回路を実現し、半導体の能力を飛躍的に高められると期待が寄せられています。開発に大切なことは、多くの人の協力です。ユーザーである顧客の意見を聞くことも、海外のグループ企業や部品メーカーとの連携も求められます。半導体露光装置の開発は、社内外、国内外の多様な人々とのつながりとコミュニケーションが欠かせない仕事です。
全く新しい方式で、さらなる高精度化を目指す
今後の目標は、現在関わっているナノインプリント露光装置の、さらなる高精度化です。今はまだ世の中にない全く新しい方式にトライしていて、1年以内に実証までこぎつけたいと考えています。研究は、仮説と検証の繰り返し。そのサイクルは学生時代も今も全く同じです。大阪工業大学で成長し、身につけた技術者、研究者としての姿勢は、今も私の原点として息づいています。研究、開発の最前線で求められるエッセンスを、先取りできる環境だと言ってよいでしょう。これから入学される方々も、ぜひしっかりと学び、メカニックの資質を磨いてほしいと思います。

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